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バラのこと①
世間はゴールデンウィーク真っ只中ですね。
お休みをゆっくりお過ごしの方、お仕事をされる方、それぞれかとは思いますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
かく言う私たちは思いっきり後者の方。
おかげさまで、この時ばかりは忙しくさせて頂いております。
遠方からのお客様も多くおられ、昨今の京都の宿泊費が高騰しているというニュースを見るにつけ、数ある京都の料理屋の中で当店をお選び頂けることを本当にありがたく、嬉しく思っております。
本当にありがとうございます。
話は変わりますが、私にとってのこの季節の楽しみなどを。
まずはこれ、店の玄関入口の白モッコウバラ。
去年剪定しすぎたせいか、花少なめですが(汗)、ただ今満開です。
モッコウバラはバラの原種で白と黄色の二色があり、どちらかと言うと黄色の方が花つきが良く、立派に咲かせておられるお宅をこの時期よく見かけます。
白は花は控えめですが、清涼感あって葉の緑とのコントラストが素敵♪ (^^)
これを植えたのはちょうど3年前。
コロナ禍になって休業を余儀なくされ、行く先の不透明さを不安に思いながら、それでも何かしたいと思い、通勤途中にある近くのお花屋さんの軒先に売られていた小さなポット苗を見かけ購入。
それもたったひとつだけ売れ残っていたもの。残りものには福があるじゃないですけど、そういうのに縁を感じるタイプです、私(笑)
それが今やこんなに大きくなりました。
毎年この花を見るたびに、ああ、あの時は色々心配だったなぁと思い出します。
バラは他の植物に比べ弱く育てにくいと言いますが、この全てのバラの祖となるモッコウバラは本当に強健で手が掛かりません。
私たちもこの花のように、しなやかに力強く生きたいものです。
羊羹トースト覚書
先日、長野県からお越し頂いたお客様から地元のお菓子を頂きまして。
「ひとくち栗ようかん」という有名な栗羊羹を一口サイズに個別包装したものらしく、そのまま食べてももちろん美味しいのですが、何となくパンに乗せて食べてみたところ、思いの外美味しかったので、皆様に共有しようと思います。(しなくていいってか)
まず羊羹を薄くスライスします。
まるでカラスミのようですが羊羹です(笑)
そしてスライスした羊羹を食パンに並べて上にバターを乗せ、トースターで普通に焼きます。
そこで羊羹の表面にぽこぽこ気泡が出来るぐらいまでしっかり焼くのがコツです。
そうじゃないと「ただ薄い羊羹を乗っけただけのパン」になってしまいます。
結構熱しないと羊羹が溶けないのですよね。
食べると、うーむ美味!
とろっと溶けた優しい甘さの羊羹とバターの風味、トーストのカリふわ食感がこんなにも合うなんてーーー!!!!!!(悶絶)
でも熱いので、口の中むっちゃやけど注意です。
少し冷ます時間も含めて時間に余裕のある時に食べた方がいいかもしれません。
しかしこの羊羹、原材料は栗と砂糖と寒天のみというシンプルの極みのようなお菓子ですね。
練った栗を砂糖で味をつけて寒天で固めているという感じなのでしょうか?
ふわっと優しい栗の香りと甘みがして、羊羹loverにはたまらない羊羹でありました。
桜咲く頃
ようやく春らしい気候になったと思ったら、また寒くなったりと、行ったり来たりを繰り返し、着るものどうしようと悩みつつ、そうこうしてたら花粉症ですよ。
夫婦揃って鼻炎薬なしでは仕事にならない状態ですが…。
ところで、桜の開花宣言が出ましたね。
京都の桜の標本木って二条城にあるのだそうで、北大手門の側らしいのですが、近くなのにまったく知らなかったです(^^;)
標本木っておそらく染井吉野(ソメイヨシノ) だと思うのですが、染井吉野って元々は江戸時代後期に江戸の染井村で他の品種と掛け合わせて作られた品種らしく、桜の名所の奈良の吉野にちなみ、その頃は吉野桜という名で売られていたそうです。
そして、その淡い花色や密になって咲く姿の美しさから戦後日本全国に植えられ、接木で増やされていったいわばクローンの桜で、もうそろそろ寿命が到来しつつあるのでは…と危惧されてるとのこと。
そして、染井吉野よりも強健でより環境に適した新しい桜が代わって植えられているのだそうです。
その桜達は咲く時期がちょっと早かったり、花色が少し濃かったりとか、染井吉野のように霞のごとく一斉に咲き誇るというわけにはいかないよう。
そう考えると、染井吉野って選ばれた品種なんだなぁと思いますね。
少し寂しいけれど、桜も世代交代の時が来ているのかもしれないですね。
これからは、鴨川沿いの桜も綺麗でしょうし、木屋町の桜もそろそろ満開とのこと。
ねねの道もいいだろうなぁ、だったら嵐山も…って、今の時期どこに行ってもきっと綺麗ですよね。
写真は今週水曜日に行った平野神社の「魁(さきがけ)」という桜。
平野神社発祥の桜らしいです。この桜が咲くと京都中の桜がもう咲き出しますよーという合図なのだそう。
魁というと、◯◯◯塾しか浮かばない主人と一緒に行きました。
二千円札の怪
昨日、中国人観光客のご夫妻がお食事に来られまして、席に着くなり、ニコニコとしながらスマホの画面を見せてくれまして。そこには翻訳アプリの和訳で、
「17年に〇〇さんと一緒にこちらのお料理を食べた事があります」と。
それはありがとうございます!とこちらも翻訳アプリ経由で会話した訳ですが、あれ待てよ、17年という事は、まだこのお店をやる前になるな、と。
それでよくよく聞いてみたら、以前やっていた旅館の食事処での事らしく。
そういえば、その頃のお得意様が、お仕事先の中国人のお客様を連れて来られてた時期があったなぁと。
それで、「どうやってこのお店を見つけられたのですか?」と聞いてみたら、
「〇〇さんはもう退任されたので、私の上司に連絡を取ってもらいました。あの時、あなたに和食の素晴らしさを教えてもらったので、もう一度来たかった」と。
本当にありがたい事です。これだけある京都の料理屋の中で、何年も心の隅に留めておいてくれて、こうしてまた来てくれるなんて。
そして、最後のお会計の時、出されたのがなんと懐かしの二千円札。しかも新札。
想定外過ぎて、最初ご自身のお国のお札かな?と思わず二度見してしまいました。
こちらでは二千円札って、もうほぼほぼ見ないのですが、外貨の両替?では結構使われるのでしょうか?
最後、何度も振り返って、お手を振ってお帰りになられるお客様の後ろ姿を見ながら、ほっこりと暖かい気持ちになりました。
そして、二千円札の一万円や五千円といった新紙幣にひっそりまぎれてあるその姿に、裏面の源氏物語の絵とすずむし〜の文字も相まって、なんだか一番日本的情緒あるなぁとか思ってしまったのですが…。
そんなわけで、私たちに二重のサプライズを与えてくれた印象的なお客様でした。
春は名のみの…
今朝も雪が降った京都です。午後には溶けて無くなってしまいました。
と言いつつ、春はもうすぐという事で、八寸に添えるミニ短冊を制作。
いつも通り、主人が書いた文字を私がレイアウトソフトで調整して印刷という流れです。
文字を書いた紙を見ると、「これ!採用!」と言わんばかりに桃の花が添えてあり。
心、乙女か(笑)
しかも何かの裏紙に書いてあるし…、
梅の時期にちなみ、菅原道真公の歌です。
東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花
主なしとて 春な忘れそ
東風とは東の方から吹いてくる風の事をいい、京都から太宰府に吹く風を表しています。
「梅の花よ、春風が吹いたら香りを送ってよこしておくれ。
主人の私が居ないからといって、春を忘れず咲き誇っておくれ」
京都から太宰府に言わば左遷のようになった道真公が、京都を懐かしんで詠んだ歌と言われています。
ちなみに八寸に添えるとこんな感じ。
まだまだ外は寒いですが、一足早い春を感じて頂けましたら。